おおかみこどもの雨と雪」を早速公開初日に観て来ました。
細田守監督作品は「時をかける少女」と「サマーウォーズ」の感想を書いている身としては、今回の「おおかみこどもの雨と雪」は期待せずにはいられない作品です。

結論から言えば、期待に応えてくれた素晴らしい作品でした。
2人の子を育てる母「花」の、母親としての強さと優しさと深い愛情が、約2時間の映画の中で描かれていました。
もちろん、「雨」と「雪」も加えた3人で主役の話ですが、私が初めて見て印象に強く残っているのは「花」の我が子を想う芯の強さでした。

ネタバレのない範囲で作品について書けることとして、注目すべきは背景美術。
過去の細田守作品でも背景の緻密さには定評がありましたが、今回はその緻密さに「動き」が入ったことに驚きました。
従来のアニメ背景では、1枚絵として描かれるため動きのないのが当たり前でした。
動かそうとすれば、キャラクターと同じようなセル画の質感になってしまい、背景の緻密さは表現しにくいわけですが、今回は背景をCGで動かすことにより、背景の緻密さを維持しながら風の動きなどを再現しています。

話の内容やキャラクターの魅力もそうですが、「おおかみこどもの雨と雪」はアニメ背景の素晴らしさも特筆すべき映画だと思います。

親にとっては「子を育てる」ということ、子にとっては「これからの人生を選ぶ」ということ、そんな人生の中で最も大切な時期を、「おおかみ」というアクセントを上手く使って分かりやすく描いた作品ではないでしょうか。
これから観る人は、そういった部分にも意識して観ると、より一層この作品の見所が分かってくるかと思います。

※これ以降は作品のストーリーの内容にふれます(いわゆるネタバレです)ので、まだ「おおかみこどもの雨と雪」を観ていない方で、自分で観るまで内容を知りたくない方は、観てからの閲覧を推奨いたします。 【「おおかみこどもの雨と雪」感想 「元気で、しっかり生きて」。セリフから読み解く母「花」の深き愛(ネタバレ有)】の続きを読む